ナレッジ 2019/06/04

目標見合いの活動では絶対達成できない

全ての施策が奏功する前提になっていないか?

多くの企業が、企業・組織・個人としての目標を設定している。特に営業部門においては、売上・利益と言った定量的な目標を定められることがほとんどである。それはそれでよいのであるが、数字を並べたところで実現するはずもなく、大事なことはこの目標を達成しうる施策、行動計画を策定することである。

その際、つい目標に見合った施策立案、行動計画策定を行ってはいないだろうか?全てが思った通りに行くのであれば問題ないが、現実はそうではないのである。ではどれくらいの施策と行動計画が必要なのだろうか?

それを考える上で目標、施策・行動と実績の関係を体系的に整理することとする。

目標と実績の間にある7つのギャップ

施策・行動と実績の間にはいくつかの過程を経る中で、減衰が発生する。この減衰を極力抑えたいものであるが、VUCA時代である今、やってみなければ分からないことが多く存在するため、ゼロにすることは困難である。

まずはそこにギャップが存在することをしっかり理解して施策立案、行動計画策定に臨んで欲しい。

まず1つめのギャップは目標と成り行きの間にあるギャップである。特段策を講じなければこうなるというものが、この成り行きであり、往々にして目標よりは低い位置にある。そうスタートだと思っていた地点は、現実は相当後ろにあったのである。

スタート地点が明確になったのであれば、ギャップの説明は後ろから行った方が分かりやすい。7つめのギャップは当初見立てた成り行きが思ったものと異なる実績となった際に発生するギャップである。このギャップは上方下方双方存在する。

6つめのギャップは結果と実績のギャップである。結果とは施策を考え行動した結果そのものである。しかしながら結果が必ず今期の数字(実績)になるとも限らない。実績発現時期にズレが生じることはよくある。

5つめのギャップは実行と結果のギャップである。しっかり実行したものの思ったような結果にならないことがある。仮設にズレがあった、環境変化が起きたなど様々な要因が考えられるが、これもまたよくあることである。

4つめのギャップは行動計画と実行のギャップである。行動計画は立てたものの、その通りに実行しない、実行できないケースに起こるギャップである。自律した組織・メンバーでなければ、しっかりとしたモニタリング体制が必要であり、ここが緩くなると発生しやすくなる。

3つめのギャップは施策と行動計画のギャップである。すばらしい施策は立てたものの、各人の行動計画に落ちていないという企業・組織をよく見る。行動計画~行動確約を通じて施策は効果を発揮するものであるため、このギャップは致命的なものとなる。

2つめのギャップはずばり、施策そのものが不足しているというものである。これまで説明した6つのギャップが存在するということを理解した上で、施策を質量的に十分なだけ積み上げる必要がある。

タイトルに記載したように、これらのギャップの存在を理解しないまま、目標に見合う程度の施策しか積み上げないケースもよく見る。

このギャップを考慮して施策を積み上げることを”予材を積む”と言う。業種業態によって異なるが一般的に150%~200%積んで目標達成に至る水準とされている。

戦略・戦術は実行して初めて意味がある

結果を振り返らないで、暇さえあれば戦略や戦術を論じている企業に遭遇することがある。もはや単なる行事である。本当に強い組織は、立てた戦略・戦術をしっかり行動計画に落とし込み、行動確約をとり、行動結果を次に活かすことができる組織である。上記7つのギャップのうち2~4つめまでのギャップは自分たちが律すれば極力抑えられるものである。

また実行まで進まないと、結果が導出されないことになり、仮設が正しかったのか誤っていたのか、検証できない状態に陥る。これは最悪である。組織としての知見が積み上がらないまま、また戦略を立てるのだろうか。

7つのギャップがあるということをしっかり理解した上で、施策立案とモニタリングを徹底することを薦める。

なおこの話は決して営業部門のみの話ではなく、開発部門や生産・調達部門などでも同じ考え方を適用可能である。