Learning Organizationを組織の礎に(その2)
Learning Organizationを構成する5つの規律
Learning Organizationを組織の礎に その1では、何故この考え方が求められるのかという背景および必要となる3つの力に触れ、その中で5つの規律を紐つける形で説明した。
その2では、5つの規律について詳しく触れていくこととする。
自己マスタリー(Personal Mastery)
「自己マスタリー」とは、個人が自ら実現したいと思うビジョン(Personal Vision)を明確にし、自分自身を客観的に内省(Self-reflection)したうえで、自ら描くビジョンと現実とのギャップを正しく認識し、ビジョンに近づけるための弛まぬ探求にエネルギーを注ぐことである。
「Learning Organization」の精神は 、高度な自己マスタリーに達した人たちの、飽くなき学びの探求から生まれる。
共有ビジョン(Building Shared Vision)
「共有ビジョン」を建てるということは、組織やチームのあらゆる人々が思い描く未来の姿を持つということである。
この「共有ビジョン」があることで、コンプライアンスで縛るのではなく、メンバー一人一人のビジョン実現に向けた真のコミットメントと参画意識が高まる。また学びの焦点が絞られ、そして学びのエネルギーが生まれることにも繋がる。
メンタルモデル(Mental Models)
Learning Organizationを構築する際に大切なことは、相互の信頼関係の上に正しい対話(Dialog)を行う関係性を構築することにある。この正しい対話を行う上で大事なことは深く根付いた思い込みや先入観、決めつけといった非生産的思考から脱却にあり、この“世の中とはこういうものだという心に染みついたイメージ”をメンタルモデル(Mental Models)と言う。
メンタルモデルは、私たちが世界をどのように理解し、行動を起こすかに強い影響を及ぼす。
チーム学習(Team Learning)
「チーム学習」(Team Learning)は、組織やチームのメンバーが望む結果を出せるよう、チームの能力を高め、伸ばすプロセスである。
組織・チーム内に思考の変革をもたらすためには、メンタルモデルから脱却し互いの話を傾聴する「ダイアログ」と、最善の考えを求めて討論する「ディスカッション」を習得する必要がある。
集結した個人の能力の総和以上の相互作用を生み出すことが、この「チーム学習」の狙いである。
システム思考(System Thinking)
「システム思考」(System Thinking)は、自己マスタリー、共有ビジョン、メンタルモデル、チーム学習の4つの規律を統合する第5の規律とされている。
変化し続ける外部環境や経済において、調和・行動する際の助けとなる規律であり、即物的にモノを捉えるのではなく、相互関係にあるもの、背景にあるものなどを含む複雑なエコスステム(生態系)全体を俯瞰する思考のことである。
組織を機械的なものとして捉えるのではなくひとつの有機体として捉えることにより、個々を構成要素として見なす要素還元アプローチから生命システム全体を見るホールシステムアプローチへと変革させることが要諦である。
自分自身で取り組むこと、チームとして取り組むこと
その1ではLearning Organizationに必要な力として5つの規律を整理した。今回その5つの規律を解説した上で、各々の規律を「自分自身で取り組むべきこと」「チームとして取り組むべきこと」「共通的な前提」の3つに大別し、3つの力との関連付けをおこなった。